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飯坂温泉のコト [旅日記]

治ったと思ったら,またぶりかえしてしまった.
今度はインフルエンザじゃなくって,違うウィルスか菌らしい.
結局,先週末の誕生日も,終日フトンの中.
このカラダはどうなっているものか.オレっちも弱くなったものだ.
やること山積み年度末.仕事もそうそう休めないので,
とりあえずマスクに厚着でティッシュボックスを片手に
ふらふらしながらも,けなげに通勤はしております.
そんなワケで,相も変わらず,なかなか更新は進まない.

たまっているネタ,書きかけの文章.
情けなや,体と時間が追いつかないので,
多くは,えいっと破棄してしまうことにしたけれど,
それでも忘れないうちに書きたいことは,幾つかありまして
隙を見て(もとい,折を見て)ちょっとずつ打ってました.
ちょっとずつ打ってる割には,妙に長いという.
その時々の気分によって内容が飛ぶから文脈も文体も支離滅裂である.
劇団ひとり,っちゅうのがおるが,こちとら文壇ひとり状態とでもいうか.

まあ,いいや.
まずは,飯坂温泉のこと.

飯坂温泉には,あちらこちらに共同浴場が点在しております.
特に有名なのは温泉街の中心地に位置する鯖湖湯だけれども,
それだけじゃなくて,実は9カ所もの浴場が隠れている.
文字通り”隠れている”といいたい.何が何でも言いたい~!
はぁはぁ
・・・何故に文章で激高しているのかというと,判らないのだ.
何が,って,風呂の場所が.
ましては,中途半端な心構えでは.

昔,仕事の合間をみて,初めてやってきたときには,
ご多聞にもれず,ふらりと車で(出張の合間だからねぇ)
お気楽極楽かつヤミクモに飯坂温泉駅前まで到着したはいいが,
あれれれ・・・と一方通行だらけの路を行ったり来たり
街をでちゃって,また舞い戻ってを繰り返すことしばし.
観光地だしどっかに駐める場所くらいあるだろうという,勝手な期待の下
挙げ句の果てには摺上川上流の方まで行かされて.
知っていればあんなに素直な場所にある鯖湖湯すら見つけられずに,
這々の体で,時間切れ(昼休み一時間勝負ですからね^^).
結局入浴出来ずに,仕事へと舞い戻ったイタい記憶が有ったりする.

ここは昔ながらの温泉地.
確かに東北でも有数の観光温泉地だけれども,それだけじゃなくって
共同浴場というのは,あくまで地元の人たちのための空間であることがレゾンディトゥル.
そこに暮らしている人たちの憩いの場.ご近所の人々の生活空間.
我々外来者は,ちょっとだけお邪魔させていただく異邦人.
そう.そんな当然のことをすっかり忘れていた私への
飯坂温泉の愛のムチだったわけですね.

2回目のときは,しっかり下調べをして,
高台のほうに,観光客専用の駐車場があることを確認し,
横着せず,そこからタオルぶらさげ歩き巡ることにしました.
ちなみに案内ではパルセ飯坂という施設の駐車場でも
観光客が駐車して良いようなことを書いているのだけれど
実際に行くと施設利用者以外駐車不可と看板に書いてたりするのだな.
広いし駐めても差し支えないんだろうが,そういうのって,ちょっとね~
ということで,上記の観光客用無料駐車場は
そのパルセからもう少し住宅街方向へ直進したところにある.
位置的に八幡湯の通りを一本越えた十字路角.
夕方以降閉鎖されること以外は,立地も良いし知っておくと便利かと.
はじめ知らないと,どこでどうして良いか困ってしまうが
えいっと飛び込んで幾度か通う内に,
歩く速度で眺めると,ちょっとずつ見えてくるものがある.
一度知ってしまうと,その分だけ快適さや楽しみが増してくる.
そんなところ.

そう.
天気が良い平日昼中,タオルぶら下げ飯坂の街を散策するのはゴキゲンである.
広すぎもせず,狭すぎもせず.非平行な縦横の狭小路が入り組む断崖都市は
その気になれば,徒歩でもぐるっと一周できる範囲に
ぎゅぎゅっと詰め込まれた,温泉の迷宮ラヴィリンス.シャンプーにはリンス.
髪にもコロン恋コロン.それはラブリンスなんちって
シリアスな文体で書くと,おちゃらけたくなるこの性格・・・熱のせいだと思いたい

散歩の醍醐味.それは路に迷う楽しさ.
知らない路を進んでいって迷ったとて,あくまでこの限られたエリア.
それまで知らなかった意外なところへ到達したりして,おおぉ~って小感動.
まるで,つげ義春と軍艦島と大友克洋をごっちゃ煮にしたような世界だな.
それが飯坂.
DVC10020.JPG

昔は・・・バブルの頃までは,
きっと東北随一といっても良いくらいの,温泉歓楽地だったんだろうね.
これだけのスペースに,
どんだけの数の旅館・ホテルと飲食店が詰め込まれていたものか.

団体に依存し,宴会と会社客をその主たる収入源に見込んだ温泉地.
長き不景気の時代には,ずいぶんとその灯りも消えていったのか.
日中に街中を散策していると,その爪痕が至る所に見えて,少し心が痛む.
やぶれた障子,何年も同じ名前が歓迎されたままの玄関.
木が打ち付けられた奥には暗がりのロビー,
隙間からうっすらと差し込む外あかりに照らされるのは,転がったままのソファセット.
けれど,だからといって飯坂がそのまま消えてゆく訳じゃない.
陽の光はぽかぽかで,深い川から聞こえてくる音は滔々で,
鯖湖湯わきの足湯には,
そんな陽の光と同じようなおばちゃんたちの笑顔が3つくらいあつまって,
ほんわかした,おしゃべりと,ゆったり流れている時間がある.
そんで,なんだか,あちらこちらから,
じわじわと右肩方向へと上りゆく決意,街のイキオイも感じられるような心持がする.
さびれた温泉街,という言葉はこの街にはまだまだ似合わない.
川向かいの通り沿いにも足湯が出来ていたり,
温泉客が気軽に散策できるようにと,道路が改良中だったり
宴会じゃなくて,この温泉を楽しみにやってくる人たちにとって
優しく楽しい街に,どうやら変わろうと頑張ってるみたいです.

街を歩いていて気がついたけれど
この街には畳屋が多い.
最初,何でかな~って思ったけれど,
10歩くらい歩いて,すぐに気づいた.
そっか,そうだよね.ものすごい数の畳がこの街には有るのだから.
そうやって,みんな生きてきた.ずっとここに根を張って.
共同浴場で出会った,じっちゃん,おっちゃん,
みんな,そうやって生きてきた.

そうそう.その共同浴場のお話でした.
飯坂の共同浴場は,それぞれ曜日をずらして定休日がある.
最初下写真の八幡神社詣りがてら八幡湯へ行ったところ折しも定休日.
DVC10030.JPG
DVC10029.JPG
そこで,月曜が定休日という,鯖湖湯へと歩を進めることにした.
階段は使わずに,ぐるりと湯道(ゆのみち)坂を廻って鯖湖湯の横へ.
ところがあらま,こちらも臨時休業だとさ.ざ~んねん.
DVC10018.JPG
普段だと,ここから川の方に進むと,波来湯という共同浴場があるのだが,
ここしばらくは隣接する建物の取り壊しのため休業.
そこで,ぶらぶらと,お散歩ついでに橋を渡って川向かいへ.
パチンコ屋の駐車場をぐるりと廻って,
愛宕坂を下ったところにあるのが,共同浴場”切湯”
位置的にも,高さ的にも丁度波来湯と対面関係に位置している.
DVC10026.JPG


ここも,車で通ってたら判らんて.かろうじて”切湯”の看板があるものの
建物自体が,陰もカタチも無いんだから.
目の前に見える木造の建物がそうじゃ無いかって?いえいえ
それは全然違う家だったりします.
DVC10027.JPG
切湯はね.実は隣の旅館の建物の下に有るんです.
逆か.共同浴場の上に旅館のビルが建っている.
凄い構造でしょ?断崖都市といったのが,あながち大げさでないのがおわかりか.
DVC10025.JPG
DVC10023.JPG
DVC10024.JPG
こういう,地下に潜っていくような感覚,実に好きです.
道路側から眺めると,ごくごく普通の旅館が居並ぶ飯坂の通りだけれども,
川側から見ると,驚きである.まるで川の上に建つ高層ビル街.
丁度,取り壊しの現場が対面の切湯から見えるのだけれど,
ちょいと凄い施工をしている.思いがけず良い勉強になってしまただよ.
DVC10028.JPG

 

これが切湯.飯坂は他の共同浴場も同様だけれども,シンプルイズベスト
シャワーとかは一切なし.ただただ,渾々と豊かなお湯が流れ出す.
DVC10021.JPG
源泉は50度を超えていると思ったが,掛け流しである.だから熱い.
(鯖湖湯はちがったかな,ちょっとぬるめだったか)
飯坂の湯=熱い.だけれども,浸かってしまえば,これが実にやみつきになる.
熱いんだけれど,我慢できない熱さではないんだよね.
熱さだけなら,寒河江の市民浴場の方がよっぽど熱いよなぁ.
だから.一応埋めるための水道もあるんだけれど,
是非,身体的に差し障りなければ,やっぱり埋めないで入ってみることをお勧めします.
郷に入りては郷ひろみ

飯坂へは,福島駅から単線電車がカタコトと,通っています.終点が飯坂温泉駅.
途中の線路沿いは,まるでプラレールのようにのどかで,
家々や,細い小路がまとわりついて踏切になってたり,
線路と道路と併走して,追いかけっこしたり,
そして手作り模型のような,素敵なホームで電車待ちする人たちがいたり.
何だか,車で飯坂にやってきた自分が,すごく勿体ないような気分になりました.
そんな気分になったので,文章もいつのまにか,ですます調になってますね.

私の小さい頃の思い出.
毎年1回,恒例で両親と大鰐温泉へ旅行に出かけてました.
いつも学習発表会が終わった後の,秋晴れの土曜の午後だったような気がします.
青森から大鰐に行くには,弘前まで国鉄に乗って行き,
国鉄の弘前駅から,とことこと土手町通りを歩き,
ルネス街という建物の中を抜けると,そこにあるのが弘南鉄道の起点.中央弘前駅.
飯坂温泉駅と一緒で,随分古い建物なんだけれど,周りの景色と同化して
すごく居心地よさげに建っていた.って今でも同じように建っているけれど.
今は電車の車体も新しくキレイになっちゃったけど,当時は床が木で出来た車両だった.
横長シートの電車に乗るのもその時だけだったし,
私はあの電車に乗って,見慣れない窓の外を見るのが,すごく楽しみで.
そして大鰐の駅で降りると,夕暮れの温泉街のまっすぐじゃない狭い道や橋を渡って,
途中のお店屋さんで”おかし”とか,父親はビールとか買い込んだりしながら,
仲良く手をつないで,宿へと,とことこ歩いていったこと.
だから私にとって,旅行にいくワクワク感って,
電車にゆられる思い出や,夕暮れの温泉街をのんびり歩く思い出なんだな.

福島交通の飯坂線.無性に乗りたくなっちゃいました.
いつになるか判らんけれど,家族みんなで乗りたくなっちゃいました.
アイツらきっと喜ぶに違いない.特に電車好きの下の息子は.
そんで,飯坂温泉の駅で降りたら,宿までの夕方の散歩道,
お店でおやつだとかビールだとか,(ひそかに)買い込んで
とことこ手をつないで,歩きたいなぁ.
それは,とてもとても大きな,飯坂温泉の魅力かもしれない.


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takako

お体、大丈夫ですか?
熱がありながらもこれだけのブログを書き上げるとは!
感服いたします!!

飯坂かぁ~ そういえば、久しく訪れてないなぁ
by takako (2007-03-15 18:04) 

Yamada

ご心配おかけしてスイマセン.
熱にうかされながら仕事しているよりは
半分回転が停まった頭でblog書いてる方が,
遙かに楽だったりします(笑)
もっとも,時折自分がなにを書いているのか
判らなくなってくるのが,問題といえば問題です.

だらだらと,不調を引きずってたんですが,
昨日くらいから,急激に体が楽になってきました.
やっと熱もほぼ平常に戻ったみたいです.油断は出来ませんが.
ただ,大幅に遅れている仕事をかたづけないとならないので
喜び半分ではありますがね.今日も,もうしばらくしたら出勤です(;o;)

takakoさんも,花粉症お大事に.
niceどうも,ありがとうございました.
by Yamada (2007-03-18 04:43) 

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