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Techno Musics [懐かしの・・・]

荒らし屋の息子達が不在なのを幸いに,家中の大掃除をしています.
(このスキに,子供部屋のガラクタ達にも大胆に切り込む予定^^)
私は手狭になってきた書庫(クローゼットとも云う^^)を担当してたんですが
思いも寄らない珍品が,懐かしい品々が,あちらこちらから飛び出してきて全然進みません(笑)

私自身が忘れかけていたものも随分有るんですが,
一旦しまってしまえば,また今度いつお目にかかれるか判らないので
面白そうなものを,ちょいと何回かにわけてご紹介しましょうか.
思い入れ深いものもあるので,例の如く,べらぼうに文章が長くなりそうですが・・・

まず第1弾はテクノ系から行ってみましょうか.
今よりさらに(^^;)若かりしころ,音造りにはずいぶんとハマりました.ぴこぴこ.
いや~思い入れとウンチクと明日につかえないムダ知識の固まりみたいな文章なので,
シロートゆえ,かなり思違いや誤解・勘違いもありそうで・・・
半分くらい読み飛ばして欲しいかなとおもいますが(笑)

その思い入れのスタートライン.
”テクノ”というかっちょいい言葉と,その音楽を初めて聴いたのは小学校4年のとき
友達に借りた1本のテープでした.
”ボクワ オンガクカ デンタク カタテニ・・・”

そうやってわたしが,モノラルのラジカセでテクノを聞き始めた時点から,
ちょいと20年ばかりさかのぼりますが,
ことの起こりはGershon Kingsley
元々の肩書きはBroadWayのミュージカル音楽プロデューサというヒトです.
彼が知り合いのエンジニアであるMoog博士の開発した
”電気式楽器”(後にシンセサイザと呼ばれる)を用いて
(本格的に)音楽を作ることを始めた.1960年代のことです.

実際のところ電気を使った楽器を用いた音楽というのは,それ以前にもありました.
1930年頃にハモンドさんという方が作ったハモンド・オルガンがその先駆になるんでしょうか
これは回転の異なる複数の歯車を使って
磁石をPickUPに近づけたり遠ざけたりすることで複数の波長が異なる正弦波を作り出し
それらを合成つまり加算することで,オルガンの音を出すモノです.

 Hammond Gear.jpg 当時の歯車の仕組み
歯車の回転数および形で
発生する波の形と周波数
が変わる.


”すべての音は,理論上,波長の異なる複数の正弦波の重ね合わせで表現できる”
これが,もう少し後になって登場する,正弦波乗算の考え方.
すなわちFM(FrequencyModulation:周波数変調)音源の基本です.
FMラジオも同様の理論を用いてます.
これはアメリカの大学(スタンフォードだったかな)で確立され,
特許を買った日本のYAMAHAが実用化した.
そしてデジタルシンセDXシリーズの世界的なヒットと,
それに引きつれられた,音楽の電子化という一大革命が起こったわけです.
KORGやROLANDといったメーカもあるわけですが,ことFM音源という点をふまえると
ある意味,このDXシリーズの完成度の高さが,今の世界の音楽界を作った
と言っても過言ではないかも.シンセ界の名器中の名器です.
良くできた楽器で,我が家でもSY99と並んでDX7IIとTX802を未だに現役で使っています.
最近ボタンの調子が悪くなってきたが(笑)もう修理できないかもなぁ.
まぁDXライクな音も今ではサンプリングもしくはエミュレートされていますが,
それでもやはり実機に勝るモノはない.使えるウチは大事に使いたい楽器です.
何より音を作る際の操作性というか手順が,じっくりとなじむ.その理由は後述.
Our DX7IIFD.jpg
※我が家のDX7IIFD 今はMIDI・USBがあるが,当時フロッピーで読書き出来たのもミソ

ちなみに音の重ね合わせについてですが,
蛇足ながら,もっと広い範囲でいうと,音波に限らず波全般にそれがいえるので,
例えば耐震設計などでは,地震波などを構造物に入力した時の揺れを
加速度計などで記録・または電算機でシミュレートして(時刻歴応答波形といいます)
それをフーリエ変換という処理をしてあげることで,
連続的な波長(周波数)の異なる波の集合(スペクトル)に分解してあげて
一番揺れやすい周波数(固有周波数といいます)を求めるといったことを行います.
イコライザなんかも,一旦フーリエ変換したあとで特定の周波数だけを増幅して,
それを再度もとに戻す(逆フーリエ変換)というやりかたで,音の調整を行っています.

なによりも実はパイプオルガン自体が,
ずっとずっと昔から,知らず知らずにこの原理を利用して波の合成をおこなっていたわけです.
大規模なパイプオルガンになると,バルブの組み合わせによっては,
シンセのように様々な楽器音や効果音を作り出すことが,実はできるそうです.
だから,パイプオルガンを電気的に作ろうという試みは,ある意味自然なことだったわけですね.

ところで,モーグ博士(と読むことにします)が考え出したのは,
いわゆる”アナログシンセサイザ”
今では減算型シンセとかフィルタ式シンセとか呼ばれます.
一般向けの大量製品としてはもう作られてはいないですけどね.
ハモンドオルガンの波形加算型や,現在のFM音源における乗算型とは
音の形を作るときの考え方がちょっと違うんです.
仕組みとしては,

 ①発振装置(Oscillaorと呼ばれます)で作った波を
 ②波形調整回路(EnvelopeGenereator)にコントロールされた
  フィルタを通すことで,波を”削り”加工する.
 ③で,それに低周波発振器(LFO)によるビブラートやトレモロなどの処理をして
  スピーカに出力する

という,一連の音波づくりの回路を確立した初めての電子楽器.
それがモーグ博士の”シンセサイザ”でした
とはいえ.
モジュラと呼ばれる波形調整回路1つが膨大な真空管に支えられた本棚くらいの大きさ.
これを波形ごとにコードでつなぎ変えて,いちいち回路をかえることで音をつくっていく.
そうなると,機械全体が1つあたり1部屋くらいの大きさになることは
まずまず想像に難くないですよね?(実際そうでした)
まぁパイプオルガンを考えれば,別にそれでもいいですが^^;
しかも熱や抵抗で発振周波数が微妙に変わるので,妙なウネリが生じる
(これがある意味アナログシンセの魅力でもある)
同じ回路を組んでも,同じ音が二度と出ないことはザラ(笑)
moogstudio.jpg
※当時のmoog写真.moog社のHPより

それでも改良を重ね,トランジスタやICなどの登場もあり,
モーグ博士のシンセ,その名も”モーグ(むかしはムーグと呼んだ)”は
どんどん小型化していきます.

参考文献:アナログシンセ各社の歴史や製品(現在入手出来るモノも含め)について,
更にはアナログシンセの仕組(上の①~③の中身)が非常に詳細にまとめられたHPです
teknobo.com
http://www.teknobo.com/index.html

70年代に入り,ライブでも使える程の大きさまで小型化し
しかも音色のプリセットが可能になった”ミニモーグ”登場のころには,
プログレの神様,ELPのキース・エマーソンをはじめ,日本でも冨田勲など
この新しい電子楽器を,自分の音楽に取り入れていこうという動きは
世界的に,本格化していきます.
minimoog.jpg
※ミニムーグ 小さいとはいえ当時べらぼうな値段はした.
 現在,内部回路はデジタル化した,光る復刻版がmoog社より発売中^^

でも,その世界がやっと盛り上がっていく,もう少し前.
まだこの”どでかい電気機械”が海の物とも山の物とも判らなかった頃.
この機械の可能性にいち早く目をつけた,一人の作曲家がいたのである.
あぁやっとつながりましたね.Gershon Kingsleyに(オツカレ^^)

”POPCORN”っていう曲,ご存じですか.
聴けば絶対に判るはずです.おぉあれか!って
テクノ(というか電子音楽)の原点中の原点.
今でも様々にリメイクされてあちらこちらのBGMで使われています.
クイズ番組の考え中タイムや,情報番組のテロップの背後.
メジャーどこでは,以前冬季オリンピックでモーグルのBGMにも使われていました.
この曲こそが,キングスレイがモーグを操って作った曲.
あと,そうですね.ディズニーランドの”エレクトリカルパレード”
あのテーマ曲ありますね.
実はあれもキングスレイ作の名曲です(曲名:Baroque Hoedown
POPCORNは,世界的には70年代に入ってから
HOT BUTTERによるカヴァ版で大ブレイクしました.
この曲に度肝を抜かれてテクノという世界に飛び込んでいったアーティストは数知れず
膨大な数のトリビュート・カヴァがされております.
HB&DG.jpg
Hot Butter版popcorn             電気GrooveVITAMIN(popcorn入り)

KRAFTWERKも,それまでの曲風から”AUTOBAHN”以降がらりとスタンスを変えた
キッカケはこのあたりにあったそうですし,
日本では(ずいぶんと最近になっちゃいますが)電気グルーブが同様に
石野卓球がモーグ音に染まりながらすくすくと育ち,
クラフトワークの音を浴びながら青春を過ごし,そしてテクノバンドを結成した^^
と言うことになるんでしょうか.てきとーです.
ちなみに電気グルーブもPOPCORNをカヴァしています(上写真).
なんか日本の電気グルーブってかくと,NECみたいでヤだなぁ
(べつにNECキライじゃないけど)

  * * * * * * 

さて.ウンチクはこの位にして^^ひとやすみ.
書庫から発掘したモノを.

First Moog Quarted.jpg
まずはこちら.
写真のレコードジャケットはガーション・キングスレイ
"First Moog Quarted”のLPより.1970年のリリースです.
何年か前にCD化されちゃったんで,いまは輸入盤でCDが手に入る.
なので,あまり希少価値はなくなっちゃいましたが.
これにはPOPCORNは収録されてませんが,
収録されたアルバムも今は容易に手に入る.HOT BUTTER版もCD化されて手に入る(上写真)
イイ時代と云うべきか,ツマランというべきなのか.
First Moog Quarted Inner.jpg
でもこのジャケットといい,中のデザインといい,実に好きですね.
写真に乗っかってる回路も基板の色も実にムカシっぽい味がある.
大事な1枚です.

そしてもう1枚.
一番最初に書いた,”ボクワ オンガクカ デンタク カタテニ・・・”です.
これはKRAFTWERKの1981年リリース”Computer World”というアルバムより
”PocketCalculator”という曲でした.
手元にあるのは英語版ですが,私が最初に聴いたのは日本語Verが収録されており
”電卓”というタイトル(そのまんまや^^)
こちらもCD化されてしまっているので(実はCD版も持ってるし^^;),
今となっては希少価値はあまりないですが,大切な一枚.
Computer World.jpg
・・・Interpole,and Deutschland bank.FBI and ScotlandYard・・・って,
ときたま風呂場で口ずさんでます.とても変ですが(笑)
でもお風呂でタオル挟んでうたうと”ボコーダ”っぽくてよい.
またまた余談ですが,子供のころ読んだマニアックな電子工作雑誌に
”手作りボコーダの作り方”とゆー記事があり,
確かゴムホース(!)を使っていて,上記と似たような仕組みで音を作ってた気がする.
だから,あながち変でもないかも.いや充分に変か・・・
KRAFTWERKはメンバを入れ替えつつ,今でも活動している息の長いグループです,
かの昔にはバックにどでかいMoogを置いたステージでライブしてましたが,
近頃は,薄っぺらいIt's a SONYブランド^^のvaioノート
ステージ上でかちゃかちゃやってるようです.

そんなわけで,リリースされているアルバムもだいぶ数がありますが,
やはり,一番最初に聴いたこともあり,これがもっとも大好きなアルバム.
ちなみにコイツも,実際きけば,あぁあれか!というフレーズが満載です.

スタートラインがクラフトワークだったので,
折しも家庭用パソコンやゲーム機にすらFM音源やPCM音源が
あたりまえに搭載され始めた時代に育ったこともあり
細野さんの”VideoGameMusic(これレコード無くしちゃったんだよな)”など
その場その場のリアルタイム世代なテクノものには飛びつきつつも
それ以前のテクノにはあまり目を向けなかったんです.ところがどっこい.
そんなある時のこと.当時”タモリの音楽は世界だ”という番組があり,
そのなかでテクノ音楽の特集をしたことがあったんですね.
そこで初めてガーション・キングスレイという人物を知った,と.
そうなるともう,オクテの恋愛と一緒で(たとえが悪い^^)
そこからモーグ→アナログシンセ→打込&サンプリング→お手製音造りという流れで
その後どんどんと深みへはまっていたわけですね~

しかし今思えば”音楽は世界だ”は貴重な番組でした.
なにわのモーツァルトこと,キダタローを初めて知ったのもあの番組.
今は,ああいう,良質なカルト系音楽番組ってないなぁ・・・

さて,ひとやすみしたところで第2部(ええっ!)
これで終わりじゃ無かったんですね.
一旦,記事変えようよ^^という声もきこえてくるが.
さぁ,何人ここで脱落するかな~.もうとっくに誰も読んでなかったりして・・・

    * * * * *

機械を使った音楽作り.
最初はパソコン(マイコン^^)のBASICでの打ち込みでした.
いずれまた,”懐かしの・・・”カテゴリィの別の記事で書くと思いますが,
私が初めてマイコンのキーをたたいたのが9歳のとき.
その頃ようやく,マイコンには
PSG(Programable Sound Generator)というICチップが載りつつあった.
AY-3-8910_01.png
GI製PSGチップ AY-3-8910

これは,つまり先ほど書いた
オシレータ→フィルタ+エンベロープジェネレータ→アンプ
というのモーグのシステムが
1個のICチップに収まったもの.今で言うオンボード音源チップです.
それまでのマイコンではBEEP音というピー音しか無かった
(これのON・OFFの早さを調整して,それで音階出したツワモノもいましたが)
それでも僅か20年程度で,あのでかいモーグが指の上にも載っかるチップ1個に
(しかも3重和音=3系統+ミキサ機能付で)なっちゃったわけですから凄いですね.

さらにこのチップはprogramableとあるとおり,プログラム上から制御できる.
基本的にはPLAY”CDE”とか命令で打ち込むと,
”ど~れ~み~”とスピーカから音が出るわけです.声はまだ出ませんが^^
私が当時使っていたマシンはNECのPC-6001というマシンでしたが,
(これについてはまたいずれ別記事で詳しく)
My Papicom.jpg
※NEC製マイコン PC-6001(通称パピコン):ホームコンピュータのハシリ
 何故か未だにとってある.ROM+RAM Cartridgeが逝かれたので実用性は無いですが

このマシンのN60-BASIC(Microsoft製^^)では
SOUND命令というステートメントがあり
BASICからでも実はもう少し深いところまでチップをいじることができた.

PC-6001には,1コ上の写真にのっているGeneral Instruments社製の
”AY-3-8910”というPSGチップを搭載していたんですが,
オシレータの発生波形と周波数や,
エンベロープの形状と立上がりやアフタノートの形状・時間(A・D・S・R),
3つ有る系統の組み合わせ方(ミキサ機能)など,
モーグではモジュラの接続でやっていた非人間的各種音造りの作業が
この中ではすべて,マシンへの命令文でコントロールができる.
いや~この時代に生まれてよかった~
・・・と小学生の自分が思ったかどうか,もはや定かではありませんが.
実際には,操作方法について詳しい説明書があるわけでもなく結構大変でした.

ある時,青森の成田本店という,町一番の本屋で買ったプログラミング本に載っていた,
”P6サウンドクリエータ”というプログラムのソースを一生懸命解析して
(注:当時アプリケーションは本に印刷されて載っていたのだ!)
やっと,どうにかパラメータと内部構造との関連性をつかんだような感じでして.
でも,あの頃は何事につけてもそんな感じでしたね.
SoundCreator Howto.jpg
※コイツがサウンド・クリエータに付属していた使用解説書(現物)

当時は売ってるプログラムなんかもBASICのソース丸見えだったんで,
それでプログラムテクニックを学んだ時代ですから.
まぁ,機械もプログラムも,何もかもがシンプルだったわけで,
小学生にもその気になればソフトもハードも充分使いこなせた時代だったんです.
今は外見上(インターフェィス)は昔よりず~っと操作性がイイですが,
その中身は,素人には一切ブラックボックスになってしまいました.
で,当時はそうやってノイズジェネレータまでいじり倒して,
プロペラ音~とか波の音~とかパトカ~とかやってた小学時代^^;
この経験が,後々DX7を使うときに大きな基礎力になりました.
実は音造りの仕組みは殆ど一緒なんです.
オシレータがオペレータになったくらい(笑)
いやいや,それが実は結構深いのだが.

ところでその後,PSG音源も殆どのパソコンに普及しつつあったころ,
某社のパソコンに”FM音源”ちゃら言うものが搭載される!というウワサが流れました.
(最初FM77だからFM音源かと思いましたが^^; PC88でもFM音源はFM音源)
それは,もう中学に入ったころでしたが.
なんじゃそりゃ?ラジオでも聴けるんか?と津軽弁で友人に突っ込んだのは私.^^
機種はたしかPC-8801markII-SRという,NECの得意技ネームなパソコン,
そう.おまえはおジャ魔女ドレミどっか~んか仮面ライダーシリーズかというような,
量産改良型意味不明Long型番のパソコンだった.
いち早くそのパソコンを買ってもらったという,
友人の友人(というか私はさほど親しくなかったが見たかったんで^^)宅へ行き
みんなでその音をきいてびっくり.
”すげ~楽器の音がするで~!”
それはもう,テープで本物の音楽を聴いているような(当時ね^^)迫力と臨場感
未だクラフトワークはモノラルのラジカセで聴いてましたから(笑)
なにせ,ステレオ.左から右へ音が動く.しかも本物のエコーがかかる~
(ちなみにPSGでは3重音だせるので,私は16分音符1個分ずつずらして
 音の高さを調整することで,疑似エコーというのをつくっていた^^:)
あの時見たあれは,何てゲームだったかな?何かのAdventureGameだったと思ったが.

そんなこんなと中学・高校時代.
大学に行って,新たにFM-TOWNSというパソコンが手に入った(入学祝い^^)
これはFM音源と併せてPCM音源ちゃらいうものまでついておる.
Pulse Code Modulation(パルス符号変調)といえば,当時CDが出始めの頃.
前はFMラジオだったけど,今度はなんかCDの親戚なんだとよ~
え~!と,友人と驚き・・・はしなかった.いちおう理系の学部だし^^
余談ですがFMラジオのようにPCMラジオというのも有ります.
現時点だとスカパー!のスターデジオがPCMラジオ放送.当然デジタルです.

PCM音源というのは,これまた昔密かに一世を風靡したセピア・・じゃなくて
メロトロンというタイプのシンセがあったのですが,そのデジタル版という位置づけです.
ものすご~くシンプルにいうと,ですが(笑).
メロトロンというのは,要は各鍵盤にエンドレステープに吹き込んだ音が入っていて,
キーを押すとそれが再生されるという,画期的というか何というかスゴい機械
テープのムラなどで怪しい揺らぎが生じて,いい味をだしたりもします.
個人的には思い浮かぶのはツェッペリンStairway to Heavenですが.
要は,予めある音をとってきて(サンプリング),それを使いましょうというもの.
だから再生される音は元の音とソックリ.そりゃそうだ.
いかんせんテープでは限界があるので,結局さほど普及はしなかったのですが
その後デジタルサンプリングの実用化とともに電気的にメモりへ保管出来るようになったと.
さらにはPCM技術により,サンプルした音が色々と加工が出来るようになったと.
そうなって,初めてメロトロンの思想が生かされるようになったわけです.

UNZ the Third.jpg
※FM-TOWNSⅡMX.目玉CDの頃から数えてこれが我が家の3代目うんず
 今は現役を退いて,子供部屋で出番を待っている状況.

FM-TOWNSの当時は,まだPCM音源といってもハシリのころ.
パソコン初の32ビット機であるTOWNSですが
それでも記憶容量的にも処理能力的にもいささか心許ない時代で,
音質つまりサンプリングビットレートとサンプリング周波数
(=どのくらいの範囲の周波数の音を,どのくらい細かく採るか)がまだまだ低く
せいぜいサウンドエフェクトや,ホワイトノイズ入りの人の声に使う程度.
音楽用としては,到底CDにさえ及ばないレベルでした.
ただTOWNSーSOUNDというアプリで,
サンプリングされているWAVEファイル(当時は当然無圧縮^^)を
加工したり編集したり,アタックなどを調整したり合成したりといったことは既にできた
ある意味,将来を見越した富士通の先見性というか画期的だったと今にして思うわけで.
T-Sound and EUPHONY2.jpg
※TOWNSーSOUND 
 ちなみに後ろはMTR(MultiTrackRecorder).MIDIでシンセと繋ぎ記録・編集・再生する

さて,そのうち同居人と出会うことになります.
(おおっ,いきなり盛り上がりの展開か?)
同居人は○○大学の音楽系を出てますが,専攻は作曲で
(ピアノもそこそこしか弾けないし,カラオケいけば音がはずれる・・・が^^;理論と実践は別?)
しかも当時デジタルサウンドの可能性について研究していた(笑)
私が,ぴこぴことPSGをいじってた頃,年上である同居人は,
すでに大学でYAMAHAのミュージック仕様MSXパソコンであるCX-5
DX-7とをMIDIでつないでレコーディングなどしていたのだそうな.
これはもう,出会うべくして出会ったとしか言いようがないですな(笑)

そのようにして,同居人提供のDX-7と私所有のTOWNSは
MIDIケーブルでがっちりとつながり,
・・・所有者同士は,あまりがっちりとはつながってなかったですが^^;
丁度一緒にバンドやってたこともあり,まぁ実に熱心にシーケンサやサンプラなどを
いじりまくってた時期ですね.

そのうち,YAMAHAが新しいシンセを発売する,という情報がでてきました.
今度はFM音源にPCM音源もついてくるんだと,
・・・なぁんだ,TOWNSと一緒じゃん~と言っていたのですが,さすが世界のYAMAHA
いずれ,このウワサのシンセSYシリーズはDXにも劣らない人気で
音楽界にコアなユーザを作り出していくことになるんですね.

SYシリーズのPCM音源(AWM2音源という)は,TOWNSのとは全然レベルが違う.
当然ですが完全にプロユースのスペックでした.今でも現役ばりばり.そりゃ当時は凄かった.
しかもダテにFM音源とPCM音源を一緒にしているわけではない.理由があったんです.
つまり,FM音源(AFM:AdvancedFM音源と表記)とPCM音源を一体として使える
要は,PCMからの波形出力をFM音源のオペの入力として突っ込むなんてことが出来る.
両者を掛け合わせることで新しい音色を作り出すことができる.こいつは凄い
第一,FM音源のオペレータ.発振波だけで16波形が選べる.それが×6個.
そいつらの組合せ方(アルゴリズム:モーグでいう配線)が45通り.ちなみにDX7は32通り
3系統自由フィードバックにデジタルフィルタ上+下+バンド.
そんなにいるんかー(笑)これ,すげぇよ.すごすぎる
先行発売されたSY77の機能とSY99のプレリリースをみてそう思った我々は,
結局悩みになやんで,貯金崩してSY99購入

MainKeyboard SY99.jpg
※我が家の音楽室.現在のメインキーボードSY99.とにかく重い(^^

これはイジリ甲斐がありましたよ.アルゴリズムだけでも自由度ありすぎ.
未だに,到底すべては使いこなしてない気もするが^^
むしろ有り難かったのは,オールインワンのワークステーション設計になっていること.
つまりDX7では音色の作成と演奏は出来ますが,
それを記録するためのシーケンサ,音を調整するための外部フィルタバッチ
そしてエフェクタ,さらにはミキサと色々な外部機材を組み合わせて使う必要がありました.
今だと01vとコンピュータをデジタルシンクロさせてコアにしてますから
データさえそろえておけば,あとはコンピュータの画面と卓だけ見てれば済むわけで
あのころに比べるとずいぶん楽になってるはずですが.
何にしろ,当時のシステムだと,全部パソコンの中で完結できるDTM(DeskTopMusic)が
非常にうらやましくみえてくるのね(w
そんなわけでついついSingerSongWriterなんて買っちゃったりしましたが
これはイイ.今でもたまに使っている.
・・・というかここまで書いておいて何ですが,最近外部機材は殆ど電源いれてないなぁ^^)
要は私のようなアマチュア職人としては,
出来るだけコンパクトに楽しめた方が有り難いんですよ.

メインがSY99になって,
まずそれまで使っていたサンプラからとか市販のサンプリングデータが読み込めます,
なんせメモリこそ最近に比べれば小さいですが,PCM音源つんでますから.
で音色はそれをFM音源の波と合わせてとことん加工しまくって^^
それを使った演奏は自前で記録できて(シーケンサ機能搭載),
アルゴリズム的には,例えばオペレータを3+3並びにすれば,
独立した(しかもFBで相互関与はできる)2台のシンセが1台に収まっている状態なので
それぞれ独立にコントロールすることもできて.さらには内部で2系統のエフェクトまでかけて
(それまで持ってた単体エフェクタより遙かに性能がよい),
中でミキシングして初めて外に出てくる,と言った塩梅.
なによりそれらのコントロール情報もすべてひっくるめて記録しておける.
つまり76鍵キーボードとシンセ2台とエフェクタ2台とデジタルミキサとシーケンサとを
一緒に買ったことになる.これは楽だ.1台で全部できる.
まぁもちろんSY側だけでやろうとすると操作がかなりメンドイので,
実際はVisual的な操作性優先で,従来通りコンピュータとつないで,
全体の指揮振りはコンピュータに任せてやるわけですが.

ただ,もはや私はそんな機会は無いだろうけど,
たとえばバンドなどのライブなどで使うと非常に重宝するであろうことが予想されます.
また,YAMAHAはマニアックというか,プロユースというか
昔から伝統的にマイクロチューニング(音律調整)機能を標準搭載している.
キルンベルガとかヴェルクマイスターとかピタゴリアンとか,
この現代で一体何に使うんか~と以前言ったら
同居人がシンジラレナイと言うように,え~それがないと絶対困る~と驚いていた.
それがあるからYAMAHAを使っている面もあるのだそうで
平均律で弾くとキモチわるくなる音楽があるんだってさ.
そうか.そういうヒトが使うのか・・・

追記:下記のページで,調律を変化させた場合どれだけ曲のニュアンスが変わるか
    たとえ計算式と理屈は判らずとも^^;(結局やはり波の理論になるんですね~)
    実際に聴いて,その存在価値と効果を,耳で納得することができます.
HP名:MIDIによる調律法聴きくらべのページ
    http://s4.in12.squarestart.ne.jp/

* * * * *

さぁて,このSY99が私にとっては最後の名器といったところかな.
さすがにもう,それ以降~現在に至っては,それなにり仕事も忙しくなってきてましたし,
なかなかこれだけの手間のかかる作業を集中的にやれる時間がとれなくなっちゃった.
なので,ここ数年は精神力・体力的にも
すっかりデジタルミュージック自体から足を洗っちゃいましたが.
それ以上に,このSYより魅力的なシンセが近頃あまり見あたらない,とも思う.
だから,もしまた音の世界に戻るなら,次はきっとアナログなMOOGに手を出しそうな気がする

まぁ.SYとDXも最近は子供のヤマハの練習に使ったりとかばっかりで
YAMAHAのヒトが見たら哀しみそうな使い方なので,タマにはまたいじってやろうかと
今この文章をウチながら,ふと考えたりしてます,が(^^).

ご静聴どうも.


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